読書と耳学問 2019 10 27

 ネットのニュースでは、
人気政治家の小泉進次郎氏の苦境が伝えられています。
口が悪い人は、「小泉氏は、演説は爽やかだが、中身がない」とささやいています。
 演説は、「言いっぱなし」で済みますが、
記者会見となると、記者との質疑応答があるので、
そこが苦境の原因になるかもしれません。
 私が思うに、小泉氏は、読書の量が足りないか、
そもそも読書をしていなかったのではないかと思っています。
 いわゆる「耳学問」では、
知識の浅さを記者に見抜かれてしまいます。
 もし、「忙しくて、本なんか読んでいられない」と思うならば、
政治家としての適性はありません。
そういうセリフは、凡人がよく言っています。
政治家が凡人では、国民が悲しむでしょう。
 高名な評論家が、昔、言っていたことですが、
「たとえ、東京大学法学部を卒業しても、
読書しなければ、その頭脳は凡人になってしまう」と言っていました。
 フランス大統領だったジャック・シラク氏は、
政治家であると同時に文化人でもありました。
その教養の高さは、誰もが認めるところでした。
 だから、マスコミとしては攻めにくかったのです。
もし、シラク氏が単なる政治家だったら、
マスコミは、「自分たちと同じ土俵にある」と考えて、
いくらでも攻め込んできたでしょう。
 私の経験を話しましょう。
私は、科学技術や経済に興味があったので、
学生時代は、実用的な本ばかり読んでいました。
 しかし、弟から注意されたのです。
「実用書ばかり読んでいないで、文学も読んだ方がよい」
 確かに、科学的な思考に文学というスパイスを混ぜると、
素晴らしい「ひらめき」がありました。
文学は、人生の栄養剤です。
 私は疲れてきた時、
夏目漱石の「草枕」を思い出し、
「もう少し頑張ろう」と気力を奮い立たせます。
 智に働けば角が立つ。
 情に棹させば流される。
 意地を通せば窮屈だ。
 兎角に人の世は住みにくい。
 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
 どこへ越しても住みにくいと悟った時、
 詩が生れて、画が出来る。
(「草枕」 夏目漱石)































































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